2018年10月25日

霊山・嵩山は歴史の悲話を抱く聖なる山

日光白根山を下りて国道120号線と国道401号線の合流地点近くに新しく誕生した道の駅【尾瀬かたしな】へ。

道の駅 尾瀬かたしな(1)

初訪問です。ちょー綺麗でオシャレ!
物産館、レストラン、芝生広場にはシャワーの水遊び場がありました!

道の駅 尾瀬かたしな(2)

眺めも素晴らしいです。遥かな尾瀬〜〜〜また行きたいな。
足湯もあるので、景色を堪能しながら休憩するのに最適ですね。
花豆ソフトクリームもありますよ♪

そのまま国道120号線を西へ、道の駅【白沢】をスルーし、沼田から国道145号線で今度は道の駅【中山盆地】もスルー。どちらも温泉併設で休憩にもってこいなのですが。

道の駅 霊山たけやま(1)

今回の目当ては中之条町にある道の駅【霊山たけやま】。
春に訪れると行者ニンニク(生葉)を200円くらいで販売してますよ。

道の駅 霊山たけやま(蕎麦)

昼食に、隣の古民家を改装したお蕎麦屋さんで天もり蕎麦(850円)をいただきま〜す♪
シコシコした歯触りと蕎麦の風味がたまりません。
天ぷらは椎茸・さつまいも・かき揚げ。いつもは「もりそば」にするんだけど、これから山に登るから奮発しちゃいました(笑)

道の駅 霊山たけやま(嵩山)

道の駅の背後にそびえる嵩山(たけやま)に登る事が、3〜4年越しの宿題でした。
まず、登る前に…

親都神社(表参道)

親都(ちかと)神社へ参拝。道の駅から見ると拝殿の裏にあたるので、ついショートカットしてしまうのですが今日はきちんと参道へ廻ります。

親都神社(拝殿)

御祭神は、素戔嗚尊(須佐之男命/スサノオ)。創建年代は不詳ですが、和利宮(現在の吾妻神社)が鎮座していた場所であるとされていて、和利宮が遷座した後に地元住民たちによって新たに須佐之男命のご分霊を勧請して氏神として祀ったことがはじまりといわれています。

嵩山(たけやま)が、ご神山です。登山の無事を願います。

親都神社(大欅)

ご神木の大欅(けやき)は、樹高15m、目通り幹囲9.7m、推定樹齢700年といわれています。

嵩山(登山道)

13:10、登山開始。案内板には「ハイキングコース」と書いてありますが、歩く場所によってはとんでもない岩場&鎖場になるので、しっかりした装備(特に靴)で臨みましょう。

嵩山(一の木戸)

嵩山三十三番観世音めぐりも、かなり危険な場所があったり立ち入り禁止区域になっていたりしますので、無理して全部を廻ろうとせず気持ちだけで。

嵩山(マップ)

登山道はこんな感じ。嵩山(たけやま)は吾妻八景のひとつで、標高789mの独立峰です。

嵩山(登山道01)

倒木をうまく利用して手すりにしてあります。

嵩山(分岐01)

左に行くと展望台(見晴台)、右に行くと小天狗。
分岐点には必ず道標が建っているので助かります!

嵩山(東屋01)

見晴台・東屋(あずまや)からの眺め。

嵩山(眺望01)

榛名山が一望できます。

嵩山(登山道02)

足元はゴツゴツとした岩が多いので、よそ見注意(笑)

嵩山(分岐02)

登山道に戻ります。

嵩山(登山道03)

「岩登り(ロッククライミング)禁止」の看板が、あちこちに建っています。ハーケンやボルトを打ち込むと、そこから水が染み込んで冬に凍り岩が割れてしまうのです。
地元の方々が、ここをロッククライミングで観光誘致するよりも霊山として守ると決めたのだそうです。

嵩山(登山道04)

第二番、蝙蝠穴への道はあまり人が立ち入っていないようだったので諦めました。

嵩山(登山道05)

八番、九番も遠くから遥拝。足元が危なそうな道なき道が多いので、無理はしません。

嵩山(天狗の広場)

13:50、天狗の広場に到着。かつて山城があった名残りの二の丸跡です。
簡易トイレが設置されています。

嵩山(主要鳥瞰図)

主要な山々を描いた鳥瞰図が掲げてありました。

嵩山(登山道06)

左側は不動岩、右側は小天狗への道。
不動岩にも行こうと思ったのですが、道が険しすぎるので諦めました。

嵩山(登山道07)

小天狗への道も、岩登りという感じです。

嵩山(小天狗)

小天狗が見えました!

嵩山(小天狗からの眺め01)

絶景かな!

嵩山(小天狗からの眺め02)

絶景かな!!(*´▽`*)

嵩山(小天狗からの眺め03)

絶景かな〜〜〜!!!ヾ(*´Д`*)ノ.。・:*:・°`☆、。・:*:・°`
ここでボケ〜っとしていたいけど、時間に余裕がないので10分ほどに留めて14:10出発。

嵩山(分岐03)

天狗の広場に戻って、次は大天狗を目指します。

嵩山(東屋03)

3つめの東屋。屋根の裏側に落書きがビッシリ(-_-;
ここから東登山道へ続く道の途中に「胎内くぐり」がありますが、とにかく先に大天狗へ向かいます。

嵩山(三社神社)

三社神社がひっそりと鎮座されておりました。
こちらでも登山の無事を祈ります。

嵩山(分岐04)

小天狗、中天狗、大天狗… 中天狗は帰りでいいかと、大天狗方向へ。

嵩山(小袖の渡し)

「小袖の渡し」って何? と手持ちの地図を広げていて、気づいた。中天狗、すっとばしたらダメじゃん! 帰りはココ通らないじゃん!(;つД`)

嵩山(中天狗からの眺め)

慌てて戻ったのですが、特に岩場というわけでもなく眺めもイマイチ代り映えしませんでした…。

ちなみに「小袖の渡し」とは、地図には何も書いてなかったけどネットで調べてみたところ堀切のことのようです。既に崩れて道もなにもなくなっています。

嵩山(登山道07)

岩に埋め込まれていた石板、何だろうと読んでみたら、この場所を寄付された方の記録でした。
嵩山に土地を持っていたって事は、城に関係する誰かの子孫だったのかな?

嵩山(御城の平)

14:35、実城の平(本丸跡)に到着。観音様がずらりと四方を囲んでいました。

嵩山(御城の平  案内板)

以下、【嵩山ガイド|道の駅霊山たけやま|中之条町】より抜粋
古代から祖先の霊魂を祀る山を「たけやま」と呼び、嵩山は死者の霊が山の上に集まる神聖な「霊山」として、吾妻盆地の各地から信仰を集めていました。
(略)
縄文式文化時代の遺跡も多く、「嵩山の神和利大明神として子持山の神を妻とし、鳥頭明神を子供として吾妻地方の中心的な神となっていた」と、神々の縁起を集めた『神道集』には記されています。
(略)
嵩山城は、室町時代の中期(長尾景仲が白井城に拠って北関東一帯を押さえていた頃)、この白井をとりまく友城のひとつとして開かれました。
(略)

嵩山(東屋04)

本丸跡のすぐ近くに建つ東屋。

嵩山(東屋04からの眺め)

その東屋からの眺め。

嵩山(経塚)

東屋がある分岐点には、経塚。

ここから左、獅子鼻や池の平へ続く西登山道は通行止め。
真っすぐ、烏帽子岩や五郎岩への道は行けますが時間的に無理。
とにもかくにも大天狗、右側の道を進みます!

嵩山(登山道08)

いきなり道があやしくなりました。
道の駅でもらった地図では、大天狗まで5分と書いてありますが…。

嵩山(鎖場01)

さっそく鎖場です。しかも、岩に凹凸が少なくて角度もキツイ!
鎖場があることは知っていたので、滑り止め付きの軍手を持参してきましたが…それでも今まで経験がないくらいの恐ろしさ。

嵩山(鎖場02)

高所恐怖症は克服したと思っていたけど、あまりの断崖で手足がすくみました…。

嵩山(鎖場03)

これは登れないかもと思って荷物は岩の根本に置いてきたのですが、カメラだけは担いできました。

嵩山(鎖場04)

しかし、まだ先があったよ!!!!!

嵩山(鎖場03からの眺め)

疲れなのか恐怖なのか、震えそうな体を落ち着かせるべく景色を堪能…。
でも、どうする?
登れるの??

北海道の太田山神社で、本殿を前にリタイヤしたことが思い出される(2018年05月21日【道南五大霊場のひとつ太田山神社(本殿)へ参拝】)。
山の神様に会いたくてここまで来たんじゃないか!
もう、あと少しだぞ!

意を決して、軍手を嵌め直してカメラを抱えて、必至によじ上りました。
クライマーなら何てことない岩場かも知れません。
でも、ふだん何もトレーニングなぞしていないわたし。ここでずり落ちたら死ぬと思いました。
ケータイを持ってこなかった事を、ちょっと後悔…。万が一、ここで何か起っても助けを呼べない。

鎖を握りしめて、少ない凹凸に足を踏みしめて、四つん這いどころか這いつくばりました。
どんな無様でも構うもんか、登るんだー!(≧ロ≦)

嵩山(大天狗へ)

いょっしゃあぁ−−−! 登り切ったぞ−−−!!
って、お社が大岩(女岩)の上に建ってるぅゥ−−−ーー!!!

嵩山(大天狗 女岩)

2.5mくらいでしょうか。
こうやって見ると、何てことないと思われそうですよね。
ところがどっこい足の置き場がないんですよ。ほぼ手の力(鎖)だけを頼りに重い体を引き上げなければなりません。

嵩山(大天狗 石祠)

ついに無事、登頂!
震える手を合わせ、感無量…。

嵩山(大天狗からの眺め)

大天狗山頂からの眺めです。

嵩山(大天狗からのパノラマ)

ここには、戦国時代の悲話が眠っていました。
戦国時代の永禄6年(1563)には、岩櫃城(いわびつじょう)が武田信玄方の上田城主・真田幸隆(幸村の祖父)に攻められ落城。岩櫃城主 吾妻太郎斉藤越前守の子・城虎丸(じょうこまる)を擁した吾妻衆が、上杉謙信の支援を受けて嵩山城に立てこもりました。しかし永禄8年(1565)11月、激戦の末に城虎丸(当時18歳)はじめ一族は大天狗の岩から飛び込んで自決し、嵩山城は落城しました。
こうした戦死者を弔って、元禄15年(1702)から坂東・西国・秩父の百番観音が建立されました。(嵩山ガイド|道の駅霊山たけやま|中之条町より)

相変わらず下調べをしていなかったので、後で看板を読んで知りました。知っていたら、大天狗を登れただろうか? 今、思い返すに神妙な面持ちになります。

ひとしきり景色を眺めながら物思いに耽りつつ、心は「ここを降りるのか」という恐怖心でいっぱいでした。
ちなみに登ってる間、誰一人として会っていません。この時間(15時過ぎ)に登ってくる人がいるとも思えない。

足を滑らせたとしても鎖さえしっかり握りしめていれば滑落することはない。
そう自分に言い聞かせ、お尻でズルズル滑りながら降りました。
どんなに無様でも構うもんか(以下略)。

嵩山(登山道09)

岩山は、このように岩の隙間に土が溜まり、その上に木が根付いているので遠目には森のように見えるけど、いつズルっと地面ごと滑り落ちるか分からない怖さがあります。
どうにか鎖場を迂回できないかと思う気持ちは山々ですが、登山道を外れないよう心がけなければなりません。

嵩山(東登山道へ)

這々の体で大天狗を下り、分岐点に戻ってきました。ここからは東登山道を下ります。

嵩山(登山道10)

時既に15:40、秋の陽はつるべ落とし。こちら側は日陰なので、すっかり薄暗くなっています。

嵩山(登山道11)

つづら折りを過ぎると、第二十番〜二十五番観音や『一升水』があるのですが、そちらへの道は通行止めになっていました。

嵩山(登山道12)

岩肌に建つ観音様が見えました。

嵩山(一升水)

『一升水』とは湧水ではなく、岩盤から滴り落ちる水の事を指すようです。
お水を汲んで帰ろうと思っていたけど、これは通れたとしても水が溜まるまで時間がかかっただろうな。

嵩山(骨穴?)

地図には『骨穴』って記述があったけど、どれのことだか分かりませんでした。
「みろくさん」が安置されているという『弥勒穴』も同じく。

嵩山(登山道13)

なだらかな大岩『休石(やすみいし)』。寝転がれそう。

嵩山(登山道14)

『胎内くぐり』を通って表登山道へ繋がるルートは、またの機会に。

嵩山(登山道15)

登山道が崩れている箇所がありました!

嵩山(登山道16)

登山道の向こう、道の駅付近は陽が差して明るいです。
ホっとしました。

嵩山(リンドウ)

足元に咲く竜胆を愛でる余裕も(´ω`*)

嵩山(東登山道入口)

16:10、東登山道入口に無事、下山。ちょうど3時間でした。

嵩山(案内板)

詳細な案内板がありました。
そう言えば表登山道にはなかったな? と、4年前の写真を探してみたら…

嵩山(表登山道入口)

ありました。今回は、道の駅から登山道に入ったのでこの表登山道入口、鳥居をくぐらなかったのです。
し、しまった…。

嵩山(登山道石碑)

登山道を記した立派な石碑も立っています。これも4年前の写真(´▽`;)

霊山・嵩山

ちなみに嵩山からワイヤーが2本、ふもとまで繋がっているのですが、何のためかというと…

嵩山(こいのぼり)

毎年5月5日に開催される【嵩山まつり】で、約100匹の鯉のぼりが大空を泳ぐのです。
圧巻でしょうね〜!

霊峰・嵩山 大天狗への登山は、今年もっとも記憶に残る出来事になりました。
次回は1日かけて、胎内くぐりも行きたいな。


撮影:Nikon COOLPIX P900/スマホカメラ(Xperia Z SO-02E)


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・2015年06月08日【野反湖(のぞりこ)は霧の中
・2017年05月31日【榛名山信仰、修験者の霊場・榛名神社


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posted by しう@SOTO at 00:00 | TrackBack(0) | 群馬
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