2017年08月22日

シマフクロウ一家ものがたり〜鷲の宿から〜2017

羅臼といえば、大好きなシマフクロウに会うため【鷲の宿】さんに赴くのが定番コース。
さすがにお盆シーズンは混んでいるだろうから我慢していました(笑)
8月いっぱいは無理かな〜と思いながら電話をしてみたら、ちょうどその日と翌日だけ空いてるというではないですか! なんという天の恵みヾ(*´▽`*)ノ

鷲の宿2017(1) 鷲の宿2017(2)

写真:左は翌朝の朝日に照らされた山々。奥にぽっこり見えるのは羅臼岳です。
右側の建物が【鷲の宿】さん。ここで行き止まりで、奥は立ち入り禁止区域となります。

この沢(チトライ川)には砂防ダムがないため、9月にはサケやマスが遡上してきます。そして、それを狙ってキタキツネやヒグマも現れることがあるのです。

写真:右=シマフクロウの給餌場がグレードアップしてました!
サケ・マスが遡上する際は手前に集まって行くようにしてるみたいですね。
オショロコマも生息していて、よく釣れるそうです。

鷲の宿2017(3) 鷲の宿2017(4)

写真:左=撮影用スーパーハウスと食堂
写真:右=お宿はこちら。お部屋から撮影することもできます。

駐車場が普通車5〜6台分くらいしかないため、撮影のみ利用でクルマで来られる方は事前に問い合わせてください。
当然、宿泊客優先ですので基本的にP泊は禁止ですが、一晩中シマフクロウを撮影する熱心なファンもいます。
写真撮影は3,000円です。シマフクロウのゴハン代になります(´ω`*)

鷲の宿2017(5) 鷲の宿2017(6)

写真:左=チトライ川から見たスーパーハウスと、撮影用バス。川で遊ぶことも稀にあるし、照明がちょうどいい位置にあるのでバスからの撮影がベストポジション。

2015年春から観光協会@地域おこし協力隊となったSさんが毎晩シマフクロウ観察に来ていて、観光客にシマフクロウの生態やカメラ撮影のポイントなど色々と教えてくれます。
新しくなった夜間照明(LED)もSさんの提案で、1/80秒間隔で1/800秒のストロボ点滅をしているそうで、シマフクロウの目に優しいらしい。
以前は午前0時で消灯していましたが、現在は一晩中点いています。

写真:右=鷲の宿の名物料理、メンメ(キンキ)! これが食べたくて〜(笑)
ご主人が漁師さんなので、毎朝新鮮なお魚が届くのです。事前に希望すれば別料金で毛ガニなどもオーダーできますよ!

※お食事は宿泊のお客様のみとなっています。1泊2食つき9,000円で、撮影料も込みです!

鷲の宿2017(7) 鷲の宿2017(8)

写真:左=鷲の宿から巣立って行った歴代のヒナたち。
写真:右=食堂からの眺め。給餌場が目の前で、初めて来たカメラマンは「こんなにいい条件で撮れるとは思わなかった!」と感激していました。

・・・と、ここまでウキウキで「シマフクロウ、まだかな〜(´ω`*)」って待っていたわたしに激震が走りました。
まずは過去ブログ記事をご覧いただけると幸いです↓

・2013年08月30日【シマフクロウが見れる宿
・2014年10月03日【知床・ウトロから羅臼、鷲の宿へ。
・2015年10月02日【シマフクロウ一家物語〜鷲の宿から〜
・2015年10月05日【写真で綴るシマフクロウ一家物語〜鷲の宿から〜

はじめて訪れた2013年には、鷲の宿創業以前から棲んでいたシマフクロウ夫婦が健在でした。(この年はヒナは育たなかった)
2014年にはヒナがすくすくと成長し、一緒に給餌場でオショロコマを食べているところが見れました!

そして2015年、ヒナは孵ったもののシマフクロウ母さんが姿を見せなくなり、おそらく亡くなったんだろうということでした。
シマフクロウ父さんは、幼いヒナと、出戻り2014年のヒナを甲斐甲斐しく世話しながら、秋には新たな奥様候補をこの給餌場に連れて来ていました。
ベテラン父さんの男前っぷりには、旧来ここを訪れて来ているカメラマンたちも心をほっこりさせたものでした。

わたしは2016年には訪れられなかったのですが、その間に大事件が起っていたのです。

鷲の宿2017(シマフクロウ1) 鷲の宿2017(シマフクロウ2)

写真:左=背中を向けているのは若いオス、右側の右足に金色の輪っかをつけられているのが2014年のヒナ(メス)

シマフクロウ父さんがいない。

Sさんが経緯を教えてくれました。
何と、この出戻り娘、若いオスを連れて来て父親を追い出してしまったのです!!
シマフクロウ父さんは推定年齢27〜28歳。かなりの高齢です。
対して若いオスは推定7歳。いくら自然界のこととはいえ、想像するだに憤懣やるかたない心境です。
まさに「愕然」としました・・・。

鷲の宿2017(シマフクロウ3) 鷲の宿2017(シマフクロウ4)

父さんと若オスが争う姿を目撃した方もいるそうですが、父さんの行方は分からず、やがてこの若オスが給餌場に姿を見せるようになったといいます。
当初は片目が開かない状態だったらしく、かなり激しく闘ったのでしょう。若オスがその状態なのだから、高齢の父さんは・・・その時に絶命してしまったと思われます。

長年連れ添ったシマフクロウ母さんが亡くなった翌年に、結果として再婚せずに虹の国で再会することになったのは、運命なのでしょうか。

写真:右=きみは相変わらず水に飛び込む時、目を閉じるんだね。
自然界でうまくエサを捕れずに出戻って来た娘。それを追い返さずに面倒を見てあげていたことが、こんな裏目に出てしまうなんて・・・。

鷲の宿2017(シマフクロウ5) 鷲の宿2017(シマフクロウ6)

一昨年に父さんが連れて来ていた新たな奥様候補との恋は、Sさんによるとどうもこの娘が邪魔していたらしいです。
シマフクロウの鳴き交わしは、まずオスが「ボーボー」、すかさずメスが「ヴー」と返事するのですが、先に娘が「ヴー」と鳴いていたそうです。

労せずしてエサが食べられるこの給餌場を自分のものにしたかったのか?
しかし30年近くもここを縄張りとしている父さんがいては、そうはならない。ましてや新たな奥さんとの間にヒナが生まれたら、今度こそ出て行かなければならなくなる。
だから早急に自分の旦那が必要になり、ろくでもないオスを連れて来た。

これもSさんの聞き取り調査による情報ですが、この若オスは某漁港付近を餌場にしていたようで、漁師さんが網にかかった雑魚をポイっと港に捨てたものを食べて生きて来たようなのです。
漁師さんいわく、つがいになったのを見たこともないらしい。
親の代から漁港育ちで生きた魚を捕まえたことがないから、見ていると未だに下手っぴです。

娘とつがいになったはいいけど、そんな状態だから娘がまずダンナを育てているという妙な関係になり、一時期は娘が怒って家出していたらしい。
鷲の宿に2ヶ月もシマフクロウが来ないという前代未聞の事態の末、ガリガリに痩せた娘が給餌場に帰って来た。やっぱり自然界ではエサを捕れなかったのだろう。

仕切り直して若オスとの結婚生活を再チャレンジ。
ついにオスが娘にオショロコマをプレゼントするという基本的なプロポーズが成功、2017年春には抱卵しました。
−−−が、その卵は一向に孵ることなく、娘は2ヶ月間温め続けたようですがついに諦めた。
バチが当たった、と思うのは人間様の身勝手かな。

シマフクロウ父さん恋しさで「もう来ることはないかも」とまで思っていましたが、こうやって観察していると複雑な面持ちがしてきます。

そして、もうひとつショックなことがありました。
看板犬サラくんも昨年、虹の国に旅立ってしまったのです。
数年前にヒグマに襲われた古傷が痛んだのでしょうか、冬の寒さにキュウキュウと鳴いていて、春を待たずに力つきたとのことでした。
女将さんにとっても2016年は激動の一年だったのですが、若オスを恨んでも仕方がない、サラくんも最期は眠るように穏やかな表情だった、と寂しそうに漏らしていました。


撮影:Nikon COOLPIX P900/スマホカメラ(Xperia Z SO-02E)

*知床に関連する過去ブログ記事*(★印は鷲の宿関連)
・2012年07月31日【知床観光クルージング
・2012年08月01日【ウトロを満喫しております
・2012年08月04日【ポンホロ沼トレッキング
・2012年08月05日【ウトロの料理茶屋 八重樫
・2012年08月07日【羅臼湖トレッキング
・2012年08月07日【熊越えの滝
・2012年08月08日【羅臼から尾岱沼へ
・2013年08月24日【知床観光クルージング2013
・2013年08月25日【ウトロのお食事処
・2013年08月27日【岩尾別温泉〜プユニ岬
・2013年08月28日【知床自然センターとプユニ岬の夕陽と夜の自然観察
・2013年08月29日【知床・男の涙トレッキング
・2013年08月30日【シマフクロウが見れる宿】★
・2013年08月31日【羅臼・知床ネイチャークルーズ
・2013年09月02日【知床・羅臼の日帰り入浴情報
・2013年09月04日【羅臼を体験ダイジェスト
・2013年09月05日【羅臼の見どころあれこれ
・2013年09月06日【羅臼・相泊港から知床岬へ!
・2013年09月07日【羅臼で幻のブドウ海老を味わう
・2013年09月21日【羅臼漁火まつり(1日目)
・2013年09月22日【羅臼 漁火まつり(2日目)
・2013年09月23日【知床ネイチャークルーズ
・2013年09月26日【魚の城下町・羅臼漁港見学(第2弾)
・2014年09月13日【摩周湖〜神の子池〜来運公園〜知床ウトロの夕陽
・2014年09月14日【知床ウトロ・岩尾別温泉
・2014年09月15日【知床 羅臼の間歇泉
・2014年09月16日【知床 羅臼・瀬石&相泊温泉〜知床半島先端部地区
・2014年10月01日【知床ウトロ午前の部・男の涙〜岩尾別
・2014年10月02日【知床ウトロ午後の部・カムイワッカ湯の滝
・2014年10月03日【知床・ウトロから羅臼、鷲の宿へ。】★
・2014年10月04日【知床峠(知床横断道路)の紅葉
・2015年09月29日【知床の動物たち
・2015年10月01日【知床の動物たちを探し求めて
・2015年10月02日【シマフクロウ一家物語〜鷲の宿から〜】★
・2015年10月05日【写真で綴るシマフクロウ一家物語〜鷲の宿から〜】★
・2017年08月12日【知床・羅臼をぷらぷらと(瀬石〜相泊)
・2017年08月16日【写真で綴る、知床ウトロの見所いろいろ・前編(ご当地グルメとプユニ岬の夕陽ほか)

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posted by しう@SOTO at 22:50 | TrackBack(0) | 北海道
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