相変わらず「どこへ行こうかな〜」と地図を広げ、そういえば先日はお祭りを観ただけだから、きちんと資料館を廻ろう!と、ふたたび平取(びらとり)の二風谷(にぶたに)へ。
二風谷には、【二風谷アイヌ文化博物館】(400円)、【沙流川歴史館】(無料)、【萱野茂二風谷アイヌ資料館】(400円)があります。野外のチセ群は無料で自由に見学できます。
複数箇所を観るなら、共通券がお得です♪
・二風谷アイヌ文化博物館+萱野茂二風谷アイヌ資料館(700円)
・二風谷アイヌ文化博物館+びらとり温泉ゆから(700円)
・二風谷アイヌ文化博物館+萱野茂二風谷アイヌ資料館+びらとり温泉ゆから(1,050円)


まずは【平取町立 二風谷アイヌ文化博物館】。入ってすぐのステージ上部左右にモニターがあり、アイヌの人々の暮らしや文化を紹介するビデオがリピート再生されていて、それをずーっと30分くらい観ちゃいました。他に誰もいなかったから、最初から再生し直してもらえばよかったな。
「アイヌの四季の暮らし」の部分は全て観ました。
印象に残っているのは、木(オヒョウやシナノキなど)の皮を剥ぐ時に1/4以上は取らないこと。取った後は供物を捧げ、「あなたの着物を少しいただきました。大切に使います、どうかわたしたちを怒らないでください・・・」と祈るシーン。
木の皮は敷物や反物にするので、かなりの量を取ると思うのですが、樹々の1本1本にそうした儀式をするのだと思うと、普段の自分がいかにずさんか身に染みます。


ユーカラ(ユカラ/叙事詩)もビデオで流れていたので4種類(話)観ました。というか聴きました。映像はあまり関係ないものです。
アイヌは伝統的に文字を使用せず、生活の知恵や歴史はすべて口承で伝承されました。ユーカラのほか、ウエペケレ(散文の昔話)もあります。
アイヌ語は縄文時代の言語をそのまま残しているという説もあるそうですが、現在、アイヌ語を話せる人はほとんどいないと言っても過言ではないでしょう。
興味深かったのは「魔の国スマサムピウカ」に出てくる「金のシンタ(ゆりかご)」。
「どこからか、光り輝くもの、得体の知れない怪しいものがこちらの方へ飛んで来る。
(略)よくよく見ると飛んで来たもの、その乗り物は金色に光る小さなシンタであった・・・」
UFOじゃん!?Σ(°ロ°;)
神話(神謡)って面白い。本が出てるようなので、探してみよう。
独特の単調なリズムと淡々としたビブラートが、ちょっと怖いというか重厚な趣がありました。
・ユーカラ - Wikipedia


ちなみに、「アイヌ」とはアイヌ語で「人間」を指します。
アイヌの社会では、「アイヌ」という言葉は本当に行いの良い人にだけ使われました。丈夫な体を持ちながらも働かず生活に困るような人物は、アイヌと言わずにウェンペ(悪いやつ)と称したそうです。
アイヌの祖先は北海道在住の縄文人であり、続縄文文化、擦文時代を経てアイヌ文化の形成に至ったとみなされています。
(大ざっぱに言うとアイヌ民族も和人も縄文人を基盤として成立した集団で、共通の祖先を持つと目されているのです。)
・アイヌ - Wikipedia
そう言われれば、アイヌの文様は縄文時代の遺物に刻まれた文様と似ていますね。


二風谷アイヌ文化博物館では、「木彫・刺繍」「講話」「舞踊」「ムックリ演奏」などの体験もできます(要予約→詳しくはこちら)。


さて、お次。【沙流川歴史館】は無料です。
入ってすぐ左側の本棚前にテレビがあり、ニール・ゴードン・マンロー博士が撮影したビデオを紹介する特別番組のようなものが上映されていました。
他に誰もいなかったので、館の方に頼んで最初から見させてもらったのですが・・・「全部で何分なのか分からない」と。ここで働いてるなら知っててくださいよ(´・ω・`)
イオマンテ(熊祭り/1931年製作)の記録映像などとても興味深い内容でしたが、どうでもいい部分も多く、早送りしたかった(笑;)
結局、1時間半近く観てギブアップ。2時間くらいあるのかも。
ちなみにマンロー博士は、イギリス・スコットランド出身の医師、考古学者、人類学者。昭和7年(1932)北海道沙流郡平取町二風谷に移住し、医療活動に従事するかたわらアイヌの人類研究、民族資料収集を行った人物です。
映像の大部分は、網走の【北海道立北方民族博物館】で見ることができるらしい!
・ニール・ゴードン・マンロー - Wikipedia


ずいぶん時間を消費してしまったので、展示物はサラっと流し見(´▽`;)


二階はオシャレな休憩所になっていました。沙流川を眺めながら、ここでボンヤリしてみたい・・・。


もうひとつ。ちょっと分かりづらいのですが【萱野茂 二風谷アイヌ資料館】は、国道237号線を渡った反対側にあります。


資料館は2013年にリニューアルされましたが、「あなたがここに来るまで10万円、入館料は400円」の看板は健在でした!(笑)
萱野 茂(かやの しげる)氏は、日本のアイヌ文化研究者(博士(学術))で、彼自身もアイヌ民族。アイヌ文化、およびアイヌ語の保存・継承のために活動を続けた人物です。
アイヌ初の日本の国会議員(1994年から1998年まで参議院議員)となったことでも有名です。
・萱野茂 - Wikipedia


いち個人の資料館なので展示方法などの見せ方はいかにも雑多ですが、内容としては博物館に引けを取らないと思いました。
ところが公式サイトを読んでみたら、実はそれでも「再収集」したものだったのです!
1972(昭和47)年、二風谷アイヌ文化資料館として開館、5年後の1977(昭和52)年に土地・建物・展示資料とも無償で平取町へ移管し、それから15年間は平取町営の資料館として運営されてきました。
1991(平成3)年、にぶたにダム湖のほとりに平取町立二風谷アイヌ文化博物館が仮オープンし、旧資料館の資料はすべて博物館へ移されました。
1992年(平成4)年3月、旧資料館の建物を再利用し萱野茂の新たなアイヌ民具コレクションと新たに製作した民具資料によって「萱野茂アイヌ記念館」として再スタートしましたが、後に萱野茂二風谷アイヌ資料館と改称(以下略)


写真:左=ユニークなまな板。木彫りの装飾も綺麗。
写真:右=チセ(家)の骨組み。


二階は世界のコレクション?
これまた雑多を極めます。「お宅に眠っている、要らない土産物なども引き取ります」って書いてありました(笑)


萱野氏の書斎を再現したスペースや、使っていた道具なども展示されています。
萱野氏が行った「アイヌの結婚式」「イヨマンテ」「チセ・ア・カラ(われら・家を・つくる)」を姫田忠義 監督が映像化したそうですが、それはどこで観られるのでしょうか。


資料館の前には、縁結びの夫婦石や復元されたチセ群、金田一京助歌碑があります。
・金田一京助 - Wikipedia
向かって右側の石は1975年、沙流川上流の幸太郎沢で発見されました。左側の石は翌年、幸太郎沢よりも10km上流で発見されました。この2つを合わせていたら、凹凸がぴったり合致!
おそらく数千年の歳月を経て再会したであろう、この岩を「縁結びの夫婦石」として祀ったのだそうです。願い事を念じながら石に水を掛けるか、手で触れると願い事が成就されるそうですよ。
舟下ろしの儀式・チプサンケ(本祭)の最初に行われるのが、この夫婦石を祀る「縁結び石祭り」。到着が遅くて見れなかったんですけどね・・・。

ラストは【びらとり温泉ゆから】。日帰り入浴は420円。昨年6月にリニューアルオープンしたばかりで、とっても綺麗!
公園に面する第2駐車場で車中泊の許可をいただきました(-人-)
※トイレは夜間閉鎖されます。
*関連する過去記事*
・2015年08月22日【舟下ろしの儀式・チプサンケ(前夜祭)】
・2015年08月23日【舟下ろしの儀式・チプサンケ(本祭)】
撮影:スマホカメラ(Xperia Z SO-02E)
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